ガラス転移点
一般的に物質には融点や沸点があることは有名ですが、プラスチックをはじめとする高分子物質では、この他にガラス転移点(ガラス転移温度Tg)とよばれるものが重要になります。これらは、物質を構成する分子の運動性に関係しています。
形状記憶性はこのガラス転移点を利用しています。
一般的に、分子や原子は温度が高いほどその運動性が高くなり、それぞれの分子が自由に動こうとするようになります。
これとは逆に、それぞれの物質にはお互いに引き合う力も働いており(万有引力など)、この相反する力のバランスによって物質の状態が決まります。
つまり、気体は分子同士が引き合う力よりも、自由に動こうとする力の方が圧倒的に大きい状態、液体は両方の力がそれなりに釣り合っている状態、固体は引き合う力の方が強い状態になります。
ここで、高分子のような物質は一つひとつの分子が長いこともあり、一見、単純な固体に見えるような状態でも、ミクロ的にみると、部分部分の分子はまだある程度の運動を行うことができます(ミクロブラウン運動)(ゴムが曲げたり、伸ばしたりできるのは、分子鎖がある程度変形したり移動したりできるためで、この状態はゴム状態ともいわれる)。この状態で、さらに温度が下がると、今度は分子鎖の部分的な運動性も失われて、ゴムから柔軟性は失われます。この状態をガラス状態といいます。このゴム状態とガラス状態の転移点をガラス転移点(Tg
)といい、融点や沸点同様、それぞれの物質を構成する分子の性質によって決まります。 |