粘性 Viscosity

粘性とは
ある物体に力を加えたとき、物体はその力によって変形するが、その変形は力を取り除いてももう元には戻らない。
このような性質を粘性、また粘性を示す物体を粘性体といい、水などの液体に代表されます。
弾性体の場合は外から加えられた力は各分子間の結合の歪みとなって物体内に蓄えられるのに対し、粘性体の場合は分子が移動するときに、隣接する分子との間に生じる摩擦熱として、与えられたエネルギーが散逸してしまいます。その為、力を取り除いたあとも、変形が回復することはありません。

例えば、2枚の平行な板の間に液体を満たし、一方の板を平行に一定の力で動かした場合を考えてみます。すると、板の動きに連れられて、液体も移動し始めますが、このとき、動く板に近い液体ほど流れる速度は速くなります。



このように、板の動きに連れられて液体が流れるのも、その流れが板から離れるほど遅くなるのも、すべて、液体の流れが液体を構成する分子間に働く摩擦抵抗によって起こっているためと考えられます。

また、弾性変形が時間には依存しないのに対し、粘性変形は時間に依存します。(液体に力を与えた場合、その液体は時間とともに徐々に移動していき、最終的に、加えられたエネルギーを摩擦熱として消費しきったところで変形が収まる)

これらのことから、粘性応力S(粘性体を変形させるときにかかる力)は次のような式で表すことができます。

S = η*(dγ/dt)

ここで、dγ/dtをずり(ずれ)速度といいます。
また、ηを粘性率といい、それぞれの粘性体固有の定数になります。
ずり速度とはつまり、液体を構成する分子の移動速度です。分子の移動速度が速い(分子の運動エネルギーが大きい)ほど、分子間の摩擦抵抗も大きくなるため、粘性抵抗が大きくなることになります。

ニュートン粘性と非ニュートン粘性
上記で述べてきたような性質をニュートン粘性といいます。(粘性応力が分子間の摩擦により起こり、ηは定数)
水やベンゼンなど比較的小さい分子によって構成される粘性体の場合が、このニュートン粘性を示します。
ところで、高分子化合物のように、ある一定以上に長い分子によって構成される粘性体では、この法則は成り立たなくなります。(ηが一定ではなく、ずり速度により変化する)
ニュートン粘性に従わない粘性体の性質は非ニュートン粘性と呼ばれます。
では、なぜ高分子化合物の粘性体はニュートン粘性に従わないのでしょうか?

非ニュートン粘性の原理
高分子とは原子が無数につながってひものような形をしている分子のことをいいます。このような分子の集合によって高分子液体は構成されているわけですが、このとき、それぞれの高分子鎖はお互いが複雑に絡み合っていると考えるのが自然です。(高分子溶液の濃度が高いほど絡み合いの度合いは大きいと考えられる)



ニュートン粘性を示す低分子溶液の場合は各分子が動くときに生じる摩擦だけを考えれば良かったわけですが、高分子溶液のように長い分子が絡み合った状態では、分子間の純粋な摩擦以外に、分子同士の絡みが、分子が動く(液体が流れる)うえでの大きな抵抗になることが予想できます。
つまり、非ニュートン粘性では、粘性応力は分子間の摩擦と高分子鎖の絡みによる抵抗という異なる2つの要因により発生していることになります。

高分子鎖同士の絡み合いは、各分子鎖の動きが速いほど、ほどけやすい傾向になるため、非ニュートン粘性体では、ずり速度がある一定以上大きくなると、(絡み合いによる抵抗が減少するため)粘性抵抗が低下する現象がみられるのだと考えられます。(つまり、ηの値がずり速度の上昇によって低下した)

粘性率の測定方法
粘性率の測定方法としては、次のようなものがあります。

<毛管粘度測定法>
粘性体を毛管の一端から圧力p1で入れ、もう一端からp2で流出したときの粘性率ηは次の式で表されます。

η = πΔpr4 / 8LQ

Δp:圧力差(p1- p2)、r:毛管半径、L:毛管長さ、Q:単位時間当たりに毛管を流れる年生体の体積

<回転円筒粘度計法>
内外円筒の隙間に液体を入れ、内外いずれかの円筒を回転させるて、ηを求める。

η = M/4πωL(1/R1^2 - 1/R2^2)

M:回転に必要なトルク、ω:回転角速度、L:浸液長、R1:内筒半径、R2:外筒半径

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